研究概要 |
計画に基づき15例のDCM症例を追跡、内11例については平成14年内に治療後の再検査を行うことが出来た。従来から用いられているMIBG心筋洗い出し率に加え、新たに前壁/下壁比、前壁・下壁のみの洗い出しを検討することが出来た。従来法での洗い出し率はLVEF等の心機能指標と良好に相関したが、前壁のみの洗い出しは従来法よりもさらに相関が改善され(従来法r^2=0.26,前壁のみ0.41)、病態評価をより正確にすると考えられた。下壁のみの洗い出し、前壁/下壁比は良好な結果が得られなかった。従来法と、今回新たに検討した指標によりβブロッカー療法後平均120日の治療反応性を予測できるかの検討を行ったが、治療の予測は従来からの報告、と同じく、困難であった。 心電図同期SPECTを心不全患者のMIBGシンチグラフィーに応用するための予備的検討として2種類の解析ソフトウエア(QGS,4D-MSPECT)の対比検討を行った。MIBGにおいては、QGSでは正常に解析できないケースが非常に多かったため4D-MSPECTを用いて解析することとした。 これらの結果に基づき、通常血流シンチでのみ用いられる左室容量測定のMIBGでの応用を試みた。心電図同期による測定はほとんどの症例で正常な解析が行えなかった。心電図非同期MIBG画像による測定は心エコーによる容積測定と極めて良好な相関(r^2=0.87)を示し、治療効果の判定に有用な情報と提供することがわかった。ただし、検討した15例のうち3症例では心電図非同期画像でも正常な解析が行えなかった。これらの症例は心縦隔比が1.6以下であることがほとんどであり、心筋へのMIBG集積が極度に低下した場合、心電図非同期においても解析が困難になる限界が示された。 これらの成果は平成14年日本核医学会総会にて報告した。
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