研究概要 |
頭部MRA(magnetic resonance angiography)検査は一般に造影剤は不要であるため患者への生理的、経済的負担が少なく、脳血管形態のスクリーニング検査として注目されている。本研究の目的はMRAを用いた脳動脈瘤スクリーニング検査のためのコンピュータ支援診断システムを開発することである。今年度は、動脈瘤検査を受けた患者のMRA画像からいろいろなケースの動脈瘤の症例と動脈瘤でない症例を収集した。次に、MIP(maximum intensity projection)画像の動脈瘤を自動検出するための基礎研究として、MIP画像の動脈瘤の強調フィルターの設計、動脈瘤候補拾い出し処理の研究を行った。 1.大阪府市立泉佐野病院放射線科の医師らとともに頭部MRA検査を受けた症例の中で,動脈瘤の存在が確定した22症例と動脈瘤が存在しないことが権定した36症例を収集した。患者情報を消去した後、大容量記憶メディア上に画像データベースを作成した。 2.任意の角度の3次元MIP画像を作成し、動脈瘤を強調する方法を開発した。この方法を動脈瘤が存在するMIP画像に適用し、動脈瘤の強調の程度を調べ、動脈瘤強調フィルターの最適化を行った。 3.動脈瘤強調画像において、特徴量の多重しきい値処理をすることによつて、動脈瘤候補を拾い出す方法を開発した。3つの症例の6枚のMIP画像(一つの動脈瘤を含む)に適用した結果、True Positiveが5、Fa1se Positive(FP)が37、False Negativeが1であった。一枚当たりのFPの数は、6個であった。 今後は、このFPを減らす処理を開発する予定である.
|