研究概要 |
神経遮断薬悪性症候群(NMS)発症の既往のある患者群を15例検索した。NMS発症症例と比較し、同等量の抗精神病薬による治療を同等の期間期間受けながらもNMSの発症が見られなかった患者をコントロール群として138例検索した。本研究への同意を得た上で、計153例からDNAを分離し、PCR法によりTaqI A遺伝型のA1とA2遺伝子を決定した NMS群の遺伝型はA/A1(n=3), A1/A2(n=11), A2/A2(n=1)であり、コントロール群ではA1/A1(n=18), A1/A2(n=61), A2/A2(n=61)であった。NMS群ではコントロール群と比較し、有意(p<0.01)にA1保有者が多かった。また、allele frequencyの比較検討においても、A1遺伝子はコントロール群(35.1%)と比較し、NMS群(56.7%)で有意(p<0.05)に高い頻度で存在していた。以上の結果より、神経遮断薬悪性症候群の発症にdopamine D2受容体TaqI A遺伝型が密接に関与することが示唆された。 今後はNMS群およびコントロール群の症例数を増やすとともに、TaqI A遺伝型以外のdopamine D2受容体の遺伝的多型性とNMSとの関連を検討する予定である。
|