研究概要 |
徳島大学医学部附属病院では,脳血管障害患者を発症早期より治療する専門ユニットであるストローク・ケア・ユニットが稼働中で,救急医,脳神経外科医,放射線科医,内科医および精神科医などが協力して診察,治療にあたっている.この体制により,従来は脳血管障害の慢性期にしか関わることの少なかった我々が,急性期患者を診察する機会を得て,患者の精神症状の診察,治療を行なった。 平成13年4月〜平成14年1月の間にストローク・ケア・ユニットで治療を受けた患者は105名であった.疾患分類は,脳出血28例,脳梗塞27例,ラクナ梗塞20例,くも膜下出血12例,一過性脳虚血性発作10例,その他8例であり,生命予後は,死亡9例,植物状態5例,重度障害18例,軽度障害28例,回復45例であった.このうち精神症状が認められた者は,せん妄3例,幻覚妄想状態1例,躁状態1例の5例であり,うつ状態と呈した者は認められなかった.当院のストローク・ケア・ユニットの在院日数は,2日から48日で,平成13年12月現在の平均在院日数は15日であった.うつ状態は脳血管障害後に頻度の高と言われているが,超急性期にはほとんど認められないことが明らかとなった.そのため,我々はストローク・ケア・ユニットに入院中の診察に加え,退院後の追跡調査をすることも新たに研究計画に加えることとした.具体的には,ある一定期間に退院した患者を対象に,郵送による自己記入式の質問紙による心理検査も追加して行う.
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