近年不安障害において生物学的背景が深く関与していると考えられ、遺伝学的側面、神経伝達物質およびその受容体作用についての研究が重視されている。CRHレセプターについては従来不安との関連でCRH1レセプターが注目されていたが、最近のノックアウトマウスの研究からCRH2ノックアウトマウスでも不安を示すことがわかりその関連についても注目されている。また、ヒトにおけるCRHの研究ではパニック障害、全般性不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害といった不安障害との関連性が報告されている。そこで我々はCRH2レセプターと不安障害との関連に注目し、その多型と不安障害との関連についての研究を行うこととした。対象は正常健常人と患者とし、正常健常人は主に当院の職員・学生、患者は当科外来通院中の不安障害(DSM-IV診断基準によるパニック障害、強迫性障害、全般性不安障害の診断基準を満たす)患者とした。これら被験者に研究の目的と方法を説明し、書面による同意を得てから協力を願い、静脈血を採取している。採取した末梢血からフェノール法にてDNAを分離し、PCR法にてCRH2レセプターに特異的なプライマーを用いて増幅し、それを電気泳動にて分離し、バンドの解析を行っている。現在、PCR増幅およびバンドの解析に時間を要しており、目下研究を進めているところである。
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