平成13年度は、対象となる新鮮凍結脳の収集と切片の作成、およびin situ hybridizationを行った。死後脳はCambridge Brain Bank laboratoryおよびNew Zealand Neurological Foundation Brain Bankで、それぞれ家族の同意により剖検された死後脳を利用した。前頭前野(Brodmann area 9、10、11)と海馬(歯状回、アンモン角、海馬傍回を含む)の新鮮凍結連続切片(15μm)をCriostatで作成し、80℃で保存した。anti-sense riboprobeは、正常対照群1例の凍結脳から抽出したmRNAからcDNAを作成し、PSD95 mRNAのopen reading frame内から635bpのPCR産物を作成した。これをpBluescript IIKS(+/-)vectorにてサブクローンし、最終的に[35S]-UTPにて標識したcRNA probeをtranscriptaseにて逆転写し作成した。このanti-sense riboprobeを用いた通常のin situ hybridisation法を行い、filmautoradiogramとemulsion radiogramにてmRNA発現を確認した。PSD95 mRNAは前頭前野の皮質に一貫して発現し、海馬ではdentate gyrusからCA領域、さらにはparahippocampal gyrusにも発現していた。肉眼的には分裂病群と正常対照群で明確な差はなかったが、来年度はこのmRNA量を画像解析機器Seescan(UK)にて定量解析し、分裂病群と正常対照群との比較、また発症年齢や罹病期間との相関などを調査する。
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