自己免疫疾患のモデル動物として代表的なNew Zealand Black(NZB)マウス、NZBとNew Zealand White(NZW)マウスの第1代(B/W F1)マウスでは種々の行動解析から運動、記憶、学習、情動の異常を示すことが報告されている。今回我々は上記行動異常に加えて、新たにaggressive behaviorおよびmale-female interactionに関しても行動異常が存在することを見いだした。NZB雄マウスとB/W F1雄マウスは正常雄マウスに比べてaggressive behaviorにおいて攻撃性が亢進しており、male-female interactionにおいては雌マウスとの相互作用が減弱していた。また、フェロモン情報の伝達経路である副嗅球で神経活動のマーカーである最初期遺伝子c-Fosの染色性がaggressive behavior後のNZBマウスでは亢進しており、male-female interaction後のNZBマウスでは減弱していたことより行動異常に対応してフェロモン情報の伝達経路での神経活動も変化していることがわかった。更にB/W F1マウスにNZWマウスを退交配して得られた仔マウスを用いたQTL解析よりaggressive behaviorでは第19番染色体に、male-female interactionにおいては第1番染色体に高感受性部位が存在することが明らかとなった。
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