パニックティスオーダーは臨床遺伝学的見地から遺伝素因が強く関与していると考えられており、またその特異な薬剤反応性からその発症に生物学的異常が存在することが示唆されている。ことに、セロトニン受容体遮断作用のあるイミプラミン等の抗うつ剤が治療において有効であることから、パニックディスオーダーの発症にセロトニン受容体が関与している可能性が示唆される。 今回、DSMIVにてパニックディスオーダーと診断された患者と正常対照群の末梢血からフェノール法によりDNAを抽出し、パニックディスオーダーの候補遺伝子としてセロトニン1A、2A、2Cレセプター遺伝子ならびにノルアドレナリン遺伝子を想定し、それぞれの候補遺伝子について分子生物学的手法を用い、その多型性を検討し相関を検討した。その結果、パニックディスオーダーと正常対照群において両候補遺伝子との間にセロトニン2Aレセプター遺伝子を除く遺伝子には遺伝子型、遺伝子頻度ともに有意な差はなく、それらとの相関は否定された。セロトニン2A受容体遺伝子においては有意な相関を示し、さらに下位分類を行い、広場恐怖を持つものではより強い相関を認めた。セロトニン受容体との相関研究については現在投稿準備中、ノルアドレナリン受容体の結果について2001WORLDC ONGRESS ON PSYCHIATRIC GENETICSにおいて報告した。今後セロトニン受容体の他の亜型や、他に生物学的病因と考えられているコレシストキニン受容体、GABA受容体の遺伝子、もしくはその近傍のDNAマーカーなどとの相関を検討する。
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