メタンフェタミンモデルは精神分裂病の再発脆弱生のモデルとして広く研究されている。これまでにメタンフェタミン投与によりドーパミン、ノルアドレナリン、ヒスタミン、GABAなどの濃度が変化し、受容体ではドーパミン受容体のみならず、グルタミン酸、グルココルチコイド受容体などの多くの神経系の受容体にも変化を引き起こすことが報告されている。本研究の目的はメタンフェタミンにより引き起こされる幻覚・妄想状態や逆耐性現象に関わる神経可塑性とNMDA型受容体の関連を明らかにすることである。このため我々は大日本製薬株式会社創薬研究所薬理第1研究部の協力をいただき、以下の要領でメタンフェタミン急性および慢性投与ラットを作成した。 1)S-D系雄性ラット40匹を使用。 2)ラットは生食-生食投与(SS)群、生食-メタンフェタミン投与(SM)群、メタンフェタミン-生食投与(MS)群、メタンフェタミン-メタンフェタミン投与(MM)群の4群(各n=10)に分別した後、12時間の明暗サイクルの条件下で飼育した。 3)メタンフェタミン4mg/kg(MS、MM群)または等量の生理食塩水(SS、SM群)を1日1回、14日間腹腔内投与した後、28日間断薬し、最終日にメタンフェタミン4mg1kg(SM、MM群)または等量の生理食塩水(SS、MS群)を腹腔内投与した。 4)最終投与から2時間後に灌流固定を行い、脳を取り出し保存液中に保存し大阪医科大学精神科研究室へ持ち帰った。 5)これらラット脳を用いてNMDA型受容体各サブユニットに対して特異的な抗体を用いた免疫染色を行ったが、NR2サブユニットに関しては良好な免疫染色の結果を得ることが出来なかった。このためWestem blot法を用いた研究に実験手技を変更し、現在準備中である。
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