精神分裂病患者において、遅発性ジスキネジアとドパミンD2遺伝子多型の関連を200人の精神分裂病患者(遅発性ジスキネジア罹患者44人、非罹患者156人)を対象に解析した。その結果は、ドパミンD2レセプターの機能に関わっていると考えられている三つの遺伝子多型(Ser311Cys、-141Ins/Del、TaqIA)とAbnormal Involuntary Moving Scale(AIMS)の得点、あるいは遅発性ジスキネジアの有無との有意な関連はないとの結果であった。つまり遅発性ジスキネジアの発症にこれらのドパミンD2レセプター遺伝子多型の関与している可能性は低いと考えられた。また精神分裂病や遅発性ジスキネジアに発症にフリーラジカルの関与が考えられることから、フリーラジカルスカベンジャーとしての役割を担うパラオキソネースのGln192Arg遺伝子多型と分裂病との関連を224人の分裂病患者と177人の対照群について検討したが、結果は否定的であった。今後、遅発性ジスキネジアとの関連についても検討を行う予定である。
|