遅発性ジスキネジアとセロトニン6受容体遺伝子多型との関連を精神分裂病(統合失調症)患者173人(遅発性ジスキネジア罹患者42人、非罹患者131人)を対象に検討した。遅発性ジスキネジアの評価と診断はAbnormal Involuntary Movement Scale(AIMS)を使用して行った。またセロトニン6受容体遺伝子多型(263C/T)については、それを含む遺伝子領域をPCRで増幅して産物を制限酵素RsaIで切断後、電気泳動を行って判定した。その結果、263C/T多型とのAIMS得点の間、また263C/T多型と遅発性ジスキネジアの有無との間どちらにも関連性は認められず、遅発性ジスキネジアの発症にセロトニン6受容体遺伝子263C/T多型の関与は認められないという結論であった(Psychiatry Researchに既に結果は掲載された)。 また遅発性ジスキネジアとカテコール-O-メチル基転移酵素、モノアミン酸化酵素A及びBといったドパミンの不活性化に関わる酵素の遺伝子多型との関連を検討中も上記と同じ対象で検討した。しかし結果はそれぞれの遺伝子多型とAIMS得点の間、またそれぞれの多型と遅発性ジスキネジアの有無との間どちらにも関連性は認められず、遅発性ジスキネジアの発症にカテコール-O-メチル基転移酵素、モノアミン酸化酵素(AとB)遺伝子の関与は認められないという結果であった。 今後も更にチトクロームP4501A2遺伝子多型、セロトニン2C遺伝子多型などとの関連を検討することを予定している。
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