温式自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia : AIHA)における自己抗原エピトープ解明のため、AIHA患者末梢血Bリンパ球よりRNAを抽出し、pComb3XベクターによりFabファージライブラリーを作成した。Rhペプチド発現細胞を用いてパンニングを行い、ファージ抗体作成を予定している。また、Rhポリペプチド上でのcomformationalエピトープの局在を明らかにするため、まずアロ抗体であるモノクローナル抗Rh抗体を用いて、抗体と反応する数種類のlinear peptideを検出した。Rh血液型抗原を細胞外ペプチドループの3次構造上にマッピングすることにより、Rhポリペプチドの3次元構造を明らかにし、AIHAにおける自己抗体の交叉自己抗原レプリカペプチドの同定を予定している。さらに、Rhエピトープ群の解析の一環として、weak D血液型の分子生物学的解析を行った。日本人weak D症例より新たな遺伝子変異を見出し、同変異を導入した変異蛋白を培養細胞に発現させ、Rh抗原の量的・質的な変化の解析を行ったところ、膜貫通部位の構造がRhエピトープの量的ならびに質的な安定に重要であることが明らかになった。また、各種Rhポリペプチド発現細胞ならびにバンド3蛋白発現細胞とAIHA患者由来自己抗体との反応性の解析により、RhCcEe共通抗原が自己抗原エピトープ形成に重要であることが明らかになった。
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