温式自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia : AIHA)における自己抗原エピトープ解明のため、AIHA患者末梢血赤血球より解離した抗体と反応する数種類のlinear peptideをファージディスプレイランダムペプチドライブラリーより分離した。明らかな共通配列はなく、コンフォーメーショナル抗原エピトープに対するミモトープを表現していると考えられた。今後、検討症例数を増やし、自己抗体の認識エピトープによるAIHAの再分類と疾患特異的な治療法開発に向けた検討をおこなう予定である。さらに、AIHA主要自己抗原であるRhポリペプチド上のRh抗原システムに関わるweak DならびにRhmodバリアントの分子生物学的解析を行った。weak D血液型の日本人例の解析により、赤血球膜貫通領域における新たな遺伝子変異を見出したことから、膜貫通領域の構造がRhD抗原エピトープの量的ならびに質的な安定性に重要であることが確認された。Rhmod血液型の2家系の解析から、新たなRHAG遺伝子変異を見出した。同変異はframeshiftにより細胞内のC末端ペプチド鎖に52merのアミノ酸が追加されるものであった。AIHAの主要自己抗原であるRhポリペプチドの発現に、RhAG蛋白のC末の細胞内領域の変異が影響を与えることが推測された。
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