研究概要 |
骨形成因子bone morphogenetic protein(BMP-2)はTGF-βスーパーファミリーの一員であり、骨・軟骨形成を促進する分子として同定されたが現在では多彩な機能を有するサイトカインとして知られている。しかしながら、造血系細胞に対する作用はほとんど検討されていない。我々は既にBMP-2は骨髄腫細胞株及び患者骨髄腫細胞にアポトーシスを誘導することを見出し,BMP-2によるアポトーシス誘導機構を解析し、その一部を報告してきた。種々のヒト骨髄腫細胞株(U266,RPMI 8226,HS-Sultan,IM-9,OPM-2,KMS-12)および患者骨髄腫細胞に対してもBMP-2は時間及び濃度依存性にこれらの細胞増殖を抑制したことから、さらに他の白血病細胞株に対してBMP-2の効果を検討した。骨髄腫と同じB細胞系悪性腫瘍であるバーキット白血病細胞株Rajiに対しては増殖抑制効果を認めた。またCML細胞株K562,APL細胞株UF-1には効果を認めなかった。なお、正常B細胞に対しての影響を検討するため健常人より得られたB細胞をBMP-2(50ng/ml)処理し、FACSにて解析したが影響は認められなかった。 NOD-SCIDマウス皮下にヒト骨髄腫細胞株を移入し腫瘤形成後,BMP-2を直接腫瘍に投与することを検討したが,予備実験においてはコントロールマウスに比較しBMP-2投与マウス群の腫瘍径が縮小している傾向にあることが確認された.
|