研究概要 |
Dent病、特発性尿細管性蛋白尿症がClC-5クロライドチャネルの遺伝子変異で起こることが明らかにされ、ClC-5の異常が尿細管における低分子蛋白のエンドサイトーシスに影響していることが想定されている。平成13年度は、エンドサイトーシスとClC-5の機能連関を解析するため、基本的技術の確立を目指した。 1.培養細胞への遺伝子変異導入と強制発現系の確立 遺伝子導入培養細胞株のスクリーニング:野生型ClC-5発現の有無をノーザンブロット解析と免疫組織染色で確認し、野生型(一)哺乳類培養細胞株(CHO-KKl)を選択した。 変異導入ClC5クローンの作成:本年度は、すでに症例報告されている変異点(20ヶ所程度)の内、S270R, R280Pの作成を行った。クローニングされたClC5-cDNAをテンプレートにPCRにより変異点を有するClC5-cDNAクローンを作成し、ベクターPMAMへ挿入した。変異点の挿入はDNAシーケンスを行い確認した。 培養細胞への形質導入:リポフェクション法により、培養細胞へ遺伝子形質導入を行った。 2.蛋白発現の確認 培養細胞からサンプルを調整し、抗ClC5抗体を使用しウェスタンブロット法で、導入遺伝子の蛋白レベルで発現していることを確認した。 以上により、本年度はS270R, R280Pの二ヶ所のClC-5変異点を有するベクターが挿入された培養細胞系が確立された。次年度は、ClC-5クロライドチャネルとエンドサイトーシス機能連関を解析するため、細胞内局在の解析を行い、ソーテイング障害が細胞内小胞輸送のどのレベルで生じているのかを解析予定である。
|