本研究の目的は、ADPKDの原因研究において不可欠であると考えられる蛋白の機能解析のため、特異的な抗体を作製し、あわせて最近の蛋白発現の解析系を並行して行うことにある。 本年度は、グルタチオン S-トランスフェラーゼ(以下 GST)融合蛋白を抗原としたポリシスチン1に対するモノクローナル抗体をラットリンパ節法を用いて作製した。本法の原理は、抗原エマルジョンをラット後下肢に注射すると腸骨リンパ節が腫大する。このリンパ節内には細胞融合に適した感作B細胞が存在しており、このリンパ節を細胞融合に用いることにより目的のモノクローナル抗体を産生する融合細胞を高率に得ることができるとされている。 今回は合成ペプチドではなく、GST融合蛋白を抗原として用い、Fusion proteinの発現ベクターに挿入するPKD1遺伝子の特異性の高い500bp前後の候補部位を選定し作製した。抗原とアジュバントのエマルジョンを200μlラット後下肢に注射し、ミエローマ細胞を調節し、リンパ節細胞の取り出した。ELISAで候補が出そろったところで、凍結切片を用いてさらにスクリーニングを行った。実際に12個の候補抗体を選別することができたので、サブクローニングを行った。組織特異性をマウスの胎生期から、生後4週までの腎、肝で凍結切片を用いて蛍光抗体染色を施行した。サブクローニングを行った抗体株の3つで陽性所見が得られたため培養細胞を増やして抗体量を得ている。今後は同抗体を用いてウエスタンブロッティングを施行し、抗体特異性を検討する。
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