研究概要 |
脂質代謝異常とGH受容体遺伝子多型の関係について 脂質代謝異常を呈する患者5名(高脂血症群)、脂肪肝を呈する患者5名(脂肪肝群)を選び,GH-1遺伝子およびGH受容体遺伝子の既報の多型について解析した。対象には脂質代謝異常がなくかつ脂肪肝を認めない患者5名を選んだ。GH-1遺伝子に関しては,これまでにイントロン4内(1663,AorT)に多型が見い出されており,GH分泌能との関連が示唆されている。今回の検討では,高脂血症群における1名にのみヘテロ接合体の1663T多型を同定し,それ以外はすべて1663Aであった。GH受容体遺伝子に関してはエクソン6のコドン168の多型は15例全例がGGGであり,GGAの例は1例もなかった。エクソン10のコドン526に関しては,高脂血症群の2例,脂肪肝群の1例および正常群の1例でロイシン/イソロイシンのヘテロ接合体であり,それ以外でイソロイシン/イソロイシンであった。したがって今回の検討では症例数が少ないものの,脂質代謝異常とGHおよびGH受容体遺伝子多型の間には相関がないことが示唆された。 骨粗鬆症とGHあるいはGH受容体遺伝子多型の関係について 骨粗鬆症患者5名について,GH-1遺伝子およびGH受容体遺伝子多型を解析し,正常群5名と比較した。結果はGH-1遺伝子に関しては,10例全例で1663A多型であった。GH受容体遺伝子に関してはエクソン6のコドン168の多型は10例全例がGGGであり,エクソン10のコドン526に関しては,圧迫骨折群の2例および正常群の3例でロイシン/イソロイシンのヘテロ接合体であり,それ以外でイソロイシン/イソロイシンであった。したがって今回の検討では骨代謝異常とGHおよびGH受容体遺伝子多型の間には相関がないことが示唆された。
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