本研究では主に以下の項目に関して検討を行った。1)膵型(Kir6.2/SUR1)、および心筋骨格筋型(Kir6.2/SUR2A>K_<ATP>チャネルにおけるインスリン分泌促進薬の薬理特性の相違点。2)膵型K_<ATP>チャネルにおけるインスリン分泌促進薬の結合部位の同定 3)代謝状態が変化した条件下での薬理作用を理解する目的で、様々な濃度のATP叉はADP存在下におけるスルホニル尿素薬およびナテグリニドの膵型K_<ATP>チャネルに対する薬理作用の変化の検討 4)スルホニル尿素薬(グリベンクラミド叉はトルブタミド)長期高濃度負荷後の、各インスリン分泌促進薬の薬剤特性の変化の検討 5)スルホニル尿素薬およびナテグリニド長期負荷による膵β細胞への影響の検討 6)各インスリン分泌促進薬長期負荷後の膵β細胞アポトーシス出現頻度に関しての検討。 SU薬の結合部位に関しては、膵型/心筋骨格筋型キメラK_<ATP>チャネルを用いた^<86>Rb efflux等での実験結果から、SUR1のTM14-17が結合に重要な部位であることが判明した。これは、電気生理学的手法を用いた検討でも同様な結果を得た。各濃度ATP(叉はADP)の存在下で各インスリン分泌促進薬の作用力価の変化に関して、薬在間の相違が見られた。既存のSU薬であるグリベンクラミド叉はトルブタミド負荷後の薬剤反応性の変化については、各薬剤長期投与後の濃度-反応曲線は各々シフトし、その割合および程度は各薬剤で特徴的な形を示した。薬剤長期負荷後のインスリン含量およびインスリン産生能については各薬剤間で差はなかった。薬剤長期負荷によるアポトーシス出現頻度に関しては、各薬剤間で有意差が認められた。
|