H13までの実績の概要:2型糖尿病モデルラットであるOLETF(40週、60週齢)の心筋組織ではコントロールラット(LETO)に比較して 1)Na^+-Ca^<2+>電流が低下(Whole cell putch clamp法) 2)Na^+-Ca^<2+>交換体mRNA発現は増加(semiquantitative RT-PCR) 3)Na^+-Ca^<2+>交換体蛋白の発現は増加(Western blot analysis) H14年度は以下について検討した。 A:上記1)から3)について80週齢のOLETF、LETOで検討 B:培養心筋細胞を用いて糖濃度ならびにインスリン濃度のNa^+-Ca^<2+>交換体の発現に与える影響。 A:80週齢のOLETFでは1)Na^+-Ca^<2+>電流は低下していたが、Na^+-Ca^<2+>交換体mRNAおよび蛋白発現はLETOと同程度で40週齢60週齢で認めたような発現の亢進を認めなかった。 B:高糖濃度培養では正常糖濃度培養に比較しNa^+-Ca^<2+>交換体mRNAの発現は低下、また正常糖濃度にインスリンを添加することによりNa^+-Ca^<2+>交換体mRNAの発現は有意に増加した。高糖濃度培養にインスリンを添加した場合、Na^+-Ca^<2+>交換体mRNA発現は正常糖濃度(インスリン未添加)と同程度まで改善した。 各週齢での血糖値、インスリン値を測定したところ、OLETFでは血糖値は各週齢で有意に上昇、インスリン値は40週、60週齢のOLETFでは有意に上昇、80週齢では有意差を認めなかった。 以上より、高糖濃度(糖尿病状態)ではNCX発現および機能ともに低下することが示唆された。またNCXはインスリン濃度により発現量が増加するため、高インスリン血症を伴う40、60週齢のOLETFではNCX発現が亢進し、機能低下を代償している可能性が示唆された。
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