SDラットの胸部大動脈から血管平滑筋細胞を得た。10%牛胎児血清加MEM培地で培養し、実験に用いた。17β-エストラジオール(E_2)、血管作動性ホルモン(アンジオテンシンII(AngII)、アルギニンバゾプレシン(AVP))のそれぞれの作用とその相互作用を細胞周期の立場から、^3H-サイミジンの取り込み、ウエスタンブロット法によるサイクリン依存性蛋白cdk2、PCNAにて検討した。まず、^3H-サイミジンの取り込みにおいては、E_2はそれ自体また、増殖メディウム添加時において変化は認めれなかった。AngII、AVPについては12時間をピークに取り込みの増加を認めた。cdk2、PCNAの活性においては、AngII、AVPは12時間をピークに時間依存的に、また、それぞれ0.1μM、1μMをピークに濃度依存的にその活性の増加を認めた。そして、0.1μM AngII、1μM AVPの12時間後の^3H-サイミジンの取り込みとcdk2、PCNAの活性増加を0.1μM E_2は抑制した。これらの事は、血管作動性ホルモン(AngII、AVP)の細胞増殖傾向をE_2はG1-S期において抑制している可能性が示唆された。 今後(平成14年度)は、なぜ血管作動性ホルモン(AngII、AVP)の細胞増殖傾向をE_2は抑制するのかについて、エストロゲン受容体と血管作動性ホルモンの関係(細胞内シグナルメカニズム)を考慮し解析を進めてゆく。
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