研究概要 |
死戦期を被せたブタ心停止ドナーモデル〔筋弛緩薬投与後にレスピレーターを停止し心停止を誘導した〕を用い,3時間の冷保存の後に移植実験を行った。生化学検査、組織学的検討、分子生物学的検討より以下の点が明らかとなった。 1.死戦期における肝グラフト保覆について: 1)死戦期におけるProstaglandin E1の投与は死戦期における細胞膜のbreb Fformationを抑制した。 2)死戦期におけるProtease Inhibitorの投与はまた死戦期における肝グラフトへの好中球集積およびPhospholipase A2の活性化を抑制し細胞膜の脆弱化を軽減した。 2.再灌流障害におけるクッパー細胞機能抑制: 1)死戦期におけるIL-1βおよびTNF-αのInhibitorの投与は再灌流時におけるクッパー細胞細胞機能を抑制しえた。 2)クッパー細胞機能の抑制はクッパー細胞活性化に起因する活性酸素種とその活性酸素種により誘導される好中球による類洞内皮細胞障害発生を軽減しえた。 3)クッパー細胞機能の抑制により各種転写因子の発現が抑制された。 3.再灌流時におけるアラキドン酸代謝の制御:. 1)再灌流時のProtease Inhibitor投与は肝類洞の収縮に起因する微小循環環障害発生を予防した。 2)再灌流時におけるProtease Inhibitorの投与により細胞膜のStabilityを保持しえた。 3)再灌流時におけるProtease Inhibitorの投与は各種転写因子の発現を抑制した。 4.移植成績: Prostaglandin E1, Protesae Inhibitor, IL-1βおよびTNF-αのInhibitorの三剤を併用した群では100%の長期生存を得たが、その他の群では生存症例は得られなかった。 現在6時間保存後の移植実験を行っている。
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