研究概要 |
本研究ではヒト疾患、特に多因子疾患における遺伝的要因の同定を全ゲノムを対象に行い、多様な病態をゲノムの変化と関連づけて分子レベルで解明するための方法を開発し、遺伝子診断への早期応用を目指している。本年度の成果を以下に述べる。 1.癌関連遺伝子BACクローンの単離:慶応BACライブラリーよりmyc,ras,p53など206種類の癌関連遺伝子をカバーするヒトゲノムBAC、507クローンを同定した。引き続き、新たな癌関連遺伝子のBACクローンの収集も随時進める。 2.LOH領域BACクローンの単離:8番染色体は既にそのほとんどをカバーするヒトゲノムBACクローンを得ており、現在コンティグを作製している。引き続き17番、18番染色体でマップされているSTS/ESTマーカー1,000種類を用いてDH法によりBACクローンを単離する。 3.マイクロアレイの作製:上記206種類の癌関連遺伝子のBAC、507クローンのDNAを大量調製し、BAC DNAマイクロアレイを作製した。 4.マイクロアレイによるCGH法の確立:上記癌関連遺伝子BAC DNAマイクロアレイの評価のために、EGFレセプター遺伝子の増幅がみられるA431細胞と正常リンパ芽球細胞株のゲノムDNAをCGH法により比較した。A431細胞におけるEGF受容体遺伝子の増幅を再現性良く確認でき、その増幅の度合いはFISH法による結果と一致した。 5.増幅/欠失領域の解析:各癌関連遺伝子とその周辺をBACクローンのコンティグとしてカバーし、マイクロアレイによるCGH法を用いることで、増幅あるいは欠失の程度と位置の詳細解析が可能であることを示した。今後、上記206遺伝子についてそれらの詳細解析を進める。
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