研究概要 |
1)肝三次元モデルの作成 静脈麻酔下にブタ(n=2)の肝臓をspiral CTにて撮影。iopamidol 50mlを3ml/secで注入する予定であったが、iopamidolの注入が困難なため、造影をせずに2mm間隔で全肝を撮影した。得られた2次元データをもとに三次元肝モデルを作成。肝全体の輪郭に関しては問題なく3D画像の作成が可能であったが、脈管に関しては予想以上にブタ肝の厚さが薄く、単純CTでは静脈系および門脈系の脈管の区別がつきにくく、脈管の拾い上げが非常に困難であった。いかに良い条件で造影CTを撮るかが今後の課題となった。 2)門脈血行をもとにした区域境界の設定 一本の血管が二つに分岐するとき,それぞれの支配領域の間には必ず境界面が発生するが、この境界面はそれぞれの血管から発生させた2つの円錐が重なり生じた共有領域を2等分する形で存在すると想定した。この理論に基づきブタ肝門脈第3分枝にそれぞれ円錐を発生させ、それぞれの円錐がオーバーラップしてできた平面を境界面とした。人肝では全亜区域分けが可能であるが、今回の目的がわれわれの門脈血行をもとにした境界設定が理論上だけでなく、実際の肝でも流入門脈領域に一致するかを確認することが目的であるため、1区域の境界面を設定した。 3)門脈内色素注入により実際の門脈支配領域の同定とモデルとの比較 吸入麻酔下にてブタを開腹。三次元モデルで区域設定のもとになった門脈分枝をエコーガイド下に同定し、同門脈内にメチレンブルーを注入し門脈支配領域を染色した。 染色領域のみを切除し、切除標本の重量(体積)、切除面の距離計測を行った。距離計測では最大2.5cm、体積では13%の誤差を生じた。この誤差は1)における脈管の拾い上げ時の不正確さが大きく関与していると推測された。
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