macrophage-chemotactic protein-1(MCP-1)には単球系の細胞やリンパ球に対する炎症部位への走化作用がある。われわれのこれまでの実験で、担癌マウスの所属リンパ節にはMCP-1の発現が認められなかったことを確認している。 今回われわれは、マウス大腿骨より骨髄細胞(BM)を採取し、24穴プレートを用いて、5×10^5個/wellのBMをGM-CSF 500U/mlを添加したRPMI1640で、2週間培養して樹状細胞(DC)を誘導した。この間、経時的にこの培養細胞からRNAを抽出し、RT-PCR法によりMCP-1とmacrophage-inflammatory protein(MIP)、IL-12の発現を検索した。同時に、培養上清中のMCP、IL-12量をELISA法を用いて経時的に測定した。 BMから誘導されたDCはRT-PCRのレベルで、MCP-1、MIP、IL-12の発現が認められた。MCP-1、MIPの発現は、IL-12に比べ著明であった。培養上清にMCP-1は100pg/mlレベルでの産生が認められたが、IL-12は検出されなかった。培養上清のMCP-1産生量は培養開始後12〜14日目に最も多かった。 DCには強いMCPの発現が認められたことから、腫瘍免疫の際にDCを付加した場合の抗腫瘍効果が誘導されるメカニズムの一つに、DCのMCP分泌による免疫系細胞の動員が示唆された。またMCP-1の観点からは、DCの培養は12日から14日目のものがより効果的ではないかと思われた。
|