研究概要 |
細胞傷害性T細胞が認識する抗原ペプチドをコードしているlck遺伝子がクローニングされ,これよりHLA-A24拘束性に細胞傷害性T細胞が認識する抗原エピトープを同定.さらにHLA-A2拘束性に細胞傷害性T細胞が認識する抗原エピトープも同定され,それぞれHLA-A24,-A2陽性癌患者の癌ワクチン候補としてペプチドを合成した.転移性癌を含む多数の癌細胞,癌組織において発現が確認された.また,合成したペプチドにより癌患者末梢血リンパ球を刺激するとペプチド特異的な細胞傷害性T細胞前駆体の誘導・増強が可能であることが判明し,癌ペプチドワクチン候補となりうることがわかった. HLA-A24拘束性に認識される合成ペプチド(lck208-,lck486-,lck488-)を用いたペプチドワクチン療法はすでに開始されていたが,その安全性よりlckペプチドを含む14種類のペプチドより各々の癌患者の末梢血リンパ球に適合するペプチドを選択投与するワクチン療法の第I相臨床試験を行っている.HLA-A2拘束性に認識される合成ペプチド(lck246-,lck422-)も,これらを含む16種類のペプチドから患者適合選択型の癌ワクチン療法第I相臨床試験を開始した. 平成13年度にてHLA-A24+癌患者に対する第I相臨床試験において肺癌,大腸癌などで予定症例数に達したため,現在その評価を行うと共に有効性があると思われる肺癌,子宮頚癌,再燃前立腺癌,大腸癌などの癌腫(HLA-A24+癌患者を対象)に対しての早期第II相臨床試験の計画/開始が予定されている.HLA-A2+癌患者における試験は症例集積のため,現在も継続実施中である.
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