研究概要 |
ラットの全脳に5Gy、10Gy、20Gyの一回大量照射をそれぞれ20体づつ行い、各線量を照射して1、4、8、24時間後にラットを5匹づつsacrificeして灌流固定した。DNA damageをTUNEL法を用いてin situに検出し結果、照射1時間後より、照射群ではコントロール群に比して有為なTUNEL標識率の上昇を認めることを確認した。TUNEL標識率は10Gy群では照射8時間後、20Gy群では照射4時間後に最大となったが、両群とも照射24時間後にはコントロールレベルに低下した。TUNEL posidve cellは主に大脳、及び小脳の白質に分布し、形態学的にgliaと思われた。神経細胞、及び血管内皮細胞で標識されたものはなかった。Apoptosis rateは白質のうち特にCA1領域のcorpus callosum及びfimbriaで高く、corpus callosumのgenu及び小脳白質では低い傾向があった。GFAPとの二重免疫染色の結果、GFAPで標識されるTUNEL positive cellはなく、同法で標識されたgliaはoligodendrocyteである可能性が強く示唆された。しかしながら、CD57やAnti CNP等のoilgodendrogliaの選択的指標となるマーカーについては、一部で標識率が上昇した部分も認めたが、あきらかなTUNEL positive cellとの相関は確認されなかった。次に、p53を検出する抗体(Novocastra CM5, polyclonal, NCL-p53-CM5p)を用いて、TUNEL positive cellの標識率が最大であった照射4時間後の20Gy群で、どのくらいの割合いでp53の発現が認められるかを二重免疫染色を行って確認した。しかしながら、この実験では、一次抗体と二次抗体の至適濃度の決定が困難であり、部でp53の発現が認められていることが確認されたものの、こちらについてもTUNEL posidve cellと有為な相関は得られなかった。
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