平成13年度の成果(各種遺伝子導入幹細胞の作成)を受け、14年度はこれらの細胞を用いて小動物実験を行った。 ラットパーキンソン病モデルの脳(線条体)に遺伝子導入幹細胞を移植し、行動学的検討(回転運動)および組織学的検討(免疫染色)を行った。行動学的には、遺伝子導入幹細胞移植後8〜12週間は回転運動が減少し、一時的に症状の改善が観察された。しかしその後はモデルラットと同様に異常回転運動が再燃され症状が観察された。組織学的には免疫染色で黒質ドーパミン細胞の数を比較検討したが、モデルと移植ラットでは有意差がなく、申請細胞の再生は認められなかった。一時的な症状回復が認められたが、ドーパミン細胞の再生が確認できなかったことから、幹細胞に導入した遺伝子は働いているものの、幹細胞の生着が悪かったものと思われる。 これは初代線維芽細胞を媒体とした遺伝子導入線維芽細胞を移植した結果と同様であった。 今後の検討課題として、いかに移植した幹細胞の生着させるか、また生着をいかに継続させるかなどの詳細な検討が必要である。初代線維芽細胞、神経幹細胞に限らず、各種細胞を遺伝子導入の媒体とするためには、生着率の向上をいかに上げるかが課題である。この課題をクリアーすることが脳内移植治療の実用化につながる。 来年度は、移植用細胞の調整液や移植法などを工夫し、再度動物実験を繰り返していく予定である。
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