PEG3は、育児障害をもたらす遺伝子として1995年にマウス7番染色体上にmappingされたimprinting geneで、細胞増殖・細胞分化・programmed cell deathなどの様々なbiologic activityに関与する。我々はglioblastoma cell lineへのPEG3導入でgliomaの増殖が抑制されることを示してきた。しかしgliomaに於いて、その発生・成長・悪性転化などの機序は依然十分には解明されておらず、Peg3がgliomaにおいてどのような役割を果たしているかを解明することを研究の目的とした。今回、human PEG3 sequenceの解析結果から作成したpAbを用い、gliomaにおけるPEG3発現と、EGFR及びoligodendrogliomaのマーカーであるanti-CNPase発現とを比較検討した。また、19qLOHの有無による発現の差についても検討した。19qLOHはmicrosatellate assayにて検出した。結果、PEG3はlow grade gliomaで強く染色されることがあるもののhigh gradeでは殆ど染色されることはなく、MIB-1 SIと相関する傾向が見られた。これはPEG3がある種のgliomaにのみ限定して働くsuppressor geneである可能性を示唆し、oligodendrogliomaの予後予測に有用である可能性を示している。しかしPEG3発現におけるgrade間での有意な相関関係は得られなかった。また、19qLOHとの関係については、症例数が少なくPEG3発現との明らかな関係は見いだせず、今後gliomaにおけるPEG3発現とEGFR、anti-CNPase発現との相関を、さらに症例数を増やして検討していく予定である。
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