研究概要 |
1.in vivoキネマティクス解析ソフトウエアの開発。 生体MRI画像より各骨要素の3次元骨髄表面モデルを作成し、2つの異なるポジションでのデータの変化より、各骨要素の相対的位置関係を空間座標でのx, y, z軸に対する角度(Eular angle)、Translationの距離、回転軸で評価できるソフトウエアを開発した。 2.正常肘関節in vivoキネマティクス研究 A.上腕尺骨関節:健常者の肘関節の上腕尺骨関節における瞬間回転軸は外側では屈曲するに従い前下方へ偏移していたが、内側では内上顆の前下方に収束していた。この位置はMCLの近位付着部と一致し、内側ではMCLの前斜走線維のisometricな制動効果を示唆するものと考えられた。 B.近位橈尺関節:回内回外運動における瞬間回転軸はすべて橈骨頭中心部に収束しており回転軸の偏移はほとんど無いものと考えられた。 3.手関節in vivoキネマティクス研究 A.正常遠位橈尺関節、三角骨有鉤骨関節についても肘関節と同様に調査した。 ・遠位橈尺関節:DRUJの平均回転軸は尺骨頭のfoveaを通っていた。 ・三角骨有鉤骨関節:手関節掌背屈では三角骨は有鉤骨に対してほぼ前後方向に回転していたが、橈尺屈では近位橈側-遠位尺側方向へ回転していた。有鉤骨-三角骨関節は少なくとも2つの自由度を持つ鞍状関節であると考えられた。 B.in vivo病的キネマティクス研究。 橈骨骨折後変形治癒の患者を対象に遠位橈尺関節の病的キネマティクス調査した。その結果、患側DRUJでは関節裂隙の開大を認めるも、橈骨は尺骨頭の周りをcongruentに回転していた。DRUJの回転軸は全例で橈骨頭の中心からfovea中心を通っていた。また回転軸は回外から回内するに従い約2mm掌側から背側へ移動していたがこれも患側と正常とは差はなかった。
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