バイオフィードバック療法は、患者が制御すべき生体反応を光や音などのとらえやすい情報に変換し、それらの情報を意識、認知することにより目的とする反応を引き出す治療法である。本研究の目的は、ヒトの歩行時における足底圧分布の時間的、空間的変化を有効に聴覚フィードバックさせるシステム開発と歩行障害のリハビリテーションへの臨床応用である。本年度、同システムの開発を行った。足底シートに装着された複数の圧センサーに対して特定の音程を対応させ、各センサーの足圧量に対して音量を対応させることにより、歩行立脚相における足底圧分布の変化を一連のメロディーにリアルタイム変換し、出力するシステムを開発した。各センサーの音程は踵部から足先部に移るに従い低音から高音へ、外足部から内足部に移るに従い低音から高音に移るように設定し、音が持つ音程と音量という2つの要素を組み合わせることにより、足底圧分布の時間的、空間的情報を音によるメロディーに変換し、患者が認知しやすい聴覚フィードバックシステムを開発した。また、聴覚フィードバックと同時に、視覚的にもモニター表示により、各圧センサーの圧変化を平面足型上でのセンサー点の色の変化により表示した。更に、各圧センサーへの足圧量から算出した足底圧中心の位置をモニター上に表示した。また、治療機器に留まらず評価機器としての機能を持たせるため、各センサーへの足圧量、足底圧中心座標の時系列保存、足底圧中心の平面上軌跡の表示、保存機能を装備させた。以上の機能により、評価機能を併せ持つ足底圧分布の聴覚・視覚複合フィードバックシステムが開発された。
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