研究概要 |
我々は、未分化間葉系の細胞から成熟筋管細胞への増殖分化過程を分子生物学的に解析と、筋萎縮の分子細胞機構、生理的及び病的な筋再生の鍵となる分子の解明に関して以下の1,2に示す成果をあげることが出来た. 1.筋芽細胞の分化とアポトーシス-MEF2Cの活性化の有無、局在 1)筋肉の分化過程に大きな役割をするmyogenic enhancer factor 2C(MEF2C)にfocusをあてて検討した. 2)ラット由来の筋芽細胞株L6を低血清下の分化誘導することで、報告のようにMEF2Cの転写活性が上がることを確認し、MEF2Cの核内移行が分化誘導後30分以内に起こっていることを免疫染色で示した. 3)一方、骨形成因子である100ng/mのBMP-2の添加によりL6細胞の筋肉分化が抑制され、分化誘導後5日骨のマーカーであるALPが陽生になることを確認した. 4)この時MEF2Cの核外移行が抑制されることを免疫染色で示した. 5)また筋管形成した融合L6細胞をBMP-2で刺激したところ、MEF2Cの核外移行が認められた. 以上のことは現在論文投稿中である. 2.MEF2C蛋白の結合蛋白のスクリーニング 1)ヒトMEF2C蛋白のC末端断片をpGKBT7ベクターに組み込んだbaitを作成した. 2)ヒト骨格筋cDNAライブラリーとtwo-hybrid法を用いてスクリーニングして、いくつかのcDNAを得た.これらはBLASTによる検討の結果、いづれも既知の蛋白であった. 3)positiveの蛋白結合をin vitro, in vivoで確認中である. 4)更にスクリーニングを繰り返すことで未知のcDNAを探っていく予定である.
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