1、マウスを用いた自発運動負荷モデルの作製:C57BL/6Jマウス(雄性、6週齢)を2週間の予備飼育後、8週齢より実験を開始した。1m高の金網ケージ上方に設置した餌と水を摂取することで、自発的に駆け上がり運動を行わせた。実験開始日、実験開始後2週、4週、8週、12週に屠殺を行なった。 2、骨髄細胞培養による解析:マウス脛骨の骨髄細胞を培養した。骨芽細胞前駆細胞を含むCFU-f、破骨細胞前駆細胞を含むCFU-GMを測定した。ALP陽性nodule面積(骨芽細胞)、TRAP陽性多核細胞数(破骨細胞)を測定した。運動2週で、ALP陽性のCFU-fのコロニー数およびnodule面積が有意に増加し、TRAP陽性多核細胞数は有意に減少した。 3、骨組織形態計測による解析:脛骨近位骨幹端部をMMAおよびGMA樹脂に包埋し、非脱灰薄切切片を作製した。骨梁構造の指標として海綿骨量・骨梁幅・骨梁数を計測した。骨形成の指標として骨石灰化面・骨石灰化速度・骨形成率を計測した。骨吸収の指標として破骨細胞面・破骨細胞数を計測した。運動2週で、破骨細胞面と破骨細胞数は有意に減少した。運動4週では、海綿骨量、骨石灰化面、骨石灰化速度、骨形成率は有意に増大していた。 4、以上の結果から、運動負荷マウスの海綿骨の骨代謝動態の変化は、骨髄細胞において破骨細胞の分化を抑制と骨芽細胞への分化促進によって、海綿骨量を増加させることが明らかとなった。
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