研究概要 |
麻酔科ペインクリニック外来を受診した癌性疼痛患者に対し,書面および口頭で本研究の主旨と方法について説明し,書面による同意を得られた患者を対象として,1)患者同意書取得段階,2)モルヒネ投与量または投与経路変更直前,3)治療変更直後,4)変更1週間後,に採血を施行した.末期癌の癌性疼痛患者15名が対象となった.いずれの患者も肝機能および腎機能の低下はみられなかった.また,疼痛はモルヒネ投与量または投与経路変更後は改善していた.細胞性免疫(総リンパ球数,リンパ球幼若化反応,CD4/CD8比率,IL-2産生能,NK細胞活性),液性免疫(IgG,IgM)について,血漿モルヒネ濃度,Morphine-6-glucronide(M-6-G)濃度,Morphine-3-glucronide(M-3-G)濃度,M-6-G/Morphine,M-3-G/Morphineとの相関関係を検討したところ,それぞれに相関関係は認められなかった.動物実験においてはモルヒネの免疫抑制作用が示唆されているが,ヒト末期癌患者における臨床使用量では,モルヒネおよびその代謝産物の免疫抑制作用は認められないことが予想される.今後さらに患者数を増やして検討する予定である.
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