研究概要 |
本課題ではウレタン麻酔下のラットに内側前頭前皮質の機械的圧刺激に対する反応ニューロンの電気的活動を記録して、その特性を解析した。また、同時に種々薬剤の侵害反応への影響について観察し、帯状回を通るpain pathwayを鎮痛治療に応用することの可能性を検討している。 1,記録された侵害受容ニューロンの多数は帯状回(Cingulate cortex,cg)のII-III層に分布する。帯状回の侵害受容ニューロンは種々の反応パターン(高閾値型、広域動作型、抑制型)が観察された。特に他の部位では記録されない広域動作型(WDR)に類似するニューロンは刺激強度と誘発反応スパイク数に高い相関(r=0.98)を示した。 2,帯状回の機械侵害受容ニューロンは熱刺激には応答しなかった。 3,脳室内へのOrphanin FQまたはMorphine投与は高閾値型と広域動作型の誘発反応を抑制した。 4,免疫組織学的研究では帯状回に末梢機械的侵害刺激によりFos蛋白陽性細胞が誘発され、電気生理学的手法による結果と一致した。 5,セロトニン再吸収障害剤(trazodone)の脳室内投与によりウレタン麻酔下ラット帯状回機械侵害受容ニューロンの活動が抑制された。 以上の結果は帯状回の痛覚受容、情動とその修飾に関わることを示唆する。これらの実験結果は日本神経学会、生理学会及び一部を麻酔学会で発表した。
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