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2001 年度 実績報告書

ヒトパピローマウイルス蛋白質を標的にした子宮頚癌に対する治療ワクチンの基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13770905
研究種目

奨励研究(A)

研究機関東京大学

研究代表者

川名 敬  東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60311627)

キーワード子宮頚癌 / ヒトパピローマウイルス / 治療的ワクチン / E7蛋白質 / DNAワクチン
研究概要

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、子宮頚癌の約95%にそのウイルス遺伝子の存在が証明される。子宮頚癌の疫学研究からもHPVが最大リスク因子であることがわかっている。
発癌メカニズムの分子生物学的解析によりHPVのE6、E7遺伝子が子宮頚癌細胞において継続的に発現し、子宮頚癌の発生や癌形質の維持に深く関与していることがわかってきた。
そこで本研究では、ワクチンによってE6、E7を標的にした細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導することによって子宮頸癌細胞を排除することを考え、以下の研究を行った。
まず担癌動物として、子宮頸癌の約50%から検出されるHPV16型のウイルスゲノムを導入し悪性転化させたHP-1細胞をF344/Nラットの皮下に接種し腫瘍形成させた。
次にE6、E7の各遺伝子をCMVプロモーターにつなげたプラスミドDNAをワクチン(E6、E7DNAワクチン)としてラットに接種したところ、各接種ラットの血清中にE6、E7に対する抗体が誘導されたことから、これらの遺伝子がラット体内で発現し、これらの蛋白質に対する免疫応答が起きていることが確認された。同時に各接種ラットから脾蔵を摘出し、脾内のT細胞のE6、E7蛋白質に対するCTL活性を測定した。E7に対するCTLは確認されたが、E6に対するCTLは観察されなかった。
そこで、6週齢の担癌ラットにE7DNAワクチンを接種し、腫瘍形成能を3ヶ月間観察した。コントロールとして、E6発現DNAワクチン、β-gal発現DNAワクチンも接種したラットと比較した。E7DNAワクチンを接種したラットでは、コントロールと比べて有意に腫瘍形成能が抑制された。
以上から、E7蛋白質を標的にしたワクチンは、CTLを介して子宮頸癌細胞の増殖を抑制する可能性が示唆され、子宮頸癌の治療ワクチンとして期待される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Kawana K, Kawana Y, et al.: "Nasal immunization of mice with peptide having a cross-neutralization epitope on minor capsid protein L2 of human papillomavirus type 16 elicit systemic and mucosal antibodies"Vaccine. 19. 1496-1502 (2001)

  • [文献書誌] Kawana Y, Kawana K, et al.: "Human papllomavirus 16 minor capsid protein L2 N-terminal region containing a common neutralization epitope binds to the cell surface and enters the cytoplasm"Journal of Virology. 75(5). 2331-2336 (2001)

  • [文献書誌] Kawana K, Shiromizu K, et al.: "Endometrial aspiration cytology in early diagnosis of adenocarcinoma arising in adenomyosis uteri"Acta cytologica. (in press). (2002)

  • [文献書誌] Minaguchi T, Kawana K, et al.: "PTEN mutation located only outside exons 5,6, and 7 is an independent predictor of favorable survival in endometrial carcinomas"Clinical Cancer Research. 7. 2636-2642 (2001)

  • [文献書誌] 川名 敬: "ヒトパピローマウイルスのワクチン療法"日本医師会雑誌. 126(9). 1118 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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