下垂体前葉細胞のホルモン分泌細胞にP型カルシウム・チャンネルが発現しているかどうかを検討するために、抗P型カルシウム・チャンネル抗体と下垂体各種ホルモンの抗体を使い、免疫組織化学的手法(2重染色)で検討した結果、下垂体前葉細胞中では驚くことにACTH分泌細胞のみにP型カルシウム・チャンネルの発現を認めた。局在に関しては、免疫電子顕微鏡染色法を用い、ACTH分泌顆粒膜上にチャンネルの局在を示唆する結果を得た。そこで実際P型カルシウム・チャンネルがACTH分泌細胞のエキソサイトーシス-エンドサイトーシス連関機構に関与しているかどうかを検討するために、免疫蛍光染色法でP型カルシウム・チャンネルの発現を確認したAtT-20(ACTH producing cell line)を用いて実験を行った。エキソサイトーシス-エンドサイトーシス連関機構の解析方法としては、以前我々が開発した方法を改良し、還流装置を用いて膜標識蛍光色素(FM1-43)の蛍光像をCCDカメラで取得し経時的変化を解析する方法を用いた。そしてP型カルシウム・チャンネルの阻害剤(ω-Agatoxin TK)がACTH分泌細胞のエキソサイトーシス-エンドサイトーシス連関機構に関与する可能性を示唆する結果を得ている。現在、今までのところをまとめて、第75回日本内分泌学会に発表予定であり、また雑誌に投稿準備中である。今後は、ACTH分泌細胞におけるこのエキソサイトーシス-エンドサイトーシス連関機構が、他の下垂体前葉細胞にどのような影響があるかを検討する方向で準備中である。
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