DNA3'末端標識後オートラジオグラフィーおよびIn situ DNA3'末端標識法による検討により子宮内膜増殖症に比べて子宮内膜異型増殖症でアポトーシスが有意に増加し、さらに子宮体癌ではアポトーシスが有意に増加していることが判明した。子宮体癌の組織型による検討では、類内膜腺癌に比べて明細胞腺癌や漿液性腺癌ではアポトーシスが有意に増加していることも判明した。アポトーシス調節機構を調べるために行った免疫組織化学的検討にて、Bcl-2蛋白は子宮内膜増殖症で強い免疫反応を認めたが子宮内膜異型増殖症、類内膜腺癌と免疫反応は減弱した。組織型による検討では、Bcl-2は類内膜腺癌では20症例中12症例で認められたが、明細胞腺癌では5症例中2症例、漿液性腺癌では3症例中1症例のみで陽性であり、有意差は認められないものの類内膜腺癌に比べて明細胞腺癌や漿液性腺癌では減弱していた。一方Bax蛋白は子宮内膜増殖症ではほとんど認められなかったが、子宮体癌で強く発現を認め、しかも明細胞腺癌や漿液性腺癌では類内膜腺癌に比べて有意に増強していた。以上の結果より、1)子宮内膜増殖症に比べて子宮内膜異型増殖症、さらに子宮体癌とアポトーシス細胞が増加すること、2)明細胞腺癌や漿液性腺癌では類内膜腺癌に比べてアポトーシスが高頻度に発生することが判明し、3)しかもそのアポトーシスはBcl-2やBaxにより調節されていることが示唆された。つまり、子宮体癌の発生や組織型による予後にアポトーシスが関与していることが示された。なお、以上の研究実績の一部は、医学雑誌(Gynecologic OncologyやHuman Reproduction)に論文として投稿し、掲載された。
|