内耳内交感神経線維を形態学的に観察するために 動物はSprague-Dawley ratを使用 (1)免疫組織化学 蝸牛の交感神経線維を標識するために、麻酔後、環流固定し、側頭骨を脱灰、切片を作成、一次抗体にカテコーラミン合成酵素(tyrosine hydroxylase)を用い、蝸牛内の交感神経節後線維を発色させ交感神経線維を観察した結果、蝸牛内交感神経線維は、2種類存在し、それぞれ血管壁周囲に終末するもの(vessel dependent fibers)と骨らせん板縁で遠心性蝸牛神経の無髄軸索領域で終末するもの(vessel independent fibers)に分けられ、それぞれの機能面を含め興味深い結果であった。 (2)実験動物の作成 交感神経節由来であることを確認するために一側の上頚神経節を摘出、その後の変化を蝸牛内で調べた結果、ほとんどの蝸牛内交感神経線維は向側の上頸神経節由来であることが分かった。 内耳交感神経が内有毛細胞とコリン作動性神経のシナプス形成に与える影響を調べるために 生後3日目のラット右上頚神経節を摘出、生後7日目に深麻酔下に、Zamboni液で潅流固定、蝸牛を摘出、脱灰切片を作製した。共焦点レーザー顕微鏡でのコリン神経終末を観察、コリン作動性神経終末のマーカーとしてvesicular acetylchdine transporter(VAT)抗体を使用、有毛細胞とのシナプスの位置関係を確認するために有毛細胞をCalbindin-D抗体を用いて標識した。VATの反応は3列の外有毛細胞では基底側に、内有毛細胞においては細胞側壁に見られた。上頚神経節除去側において内有毛細胞基底部でVAT反応のばらつきが見られシナプス形成に影響を及ぼすことが推測できた。
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