研究概要 |
13年度)ラット蝸牛におけるタイト結合タンパクclaudinの局在について、共焦点レーザ顕微鏡を用いて免疫組織化学的に検討した。内リンパ電位産生に最も重要な役割を果たしている血管条には、内リンパ側の辺縁細胞および外リンパ側の基底細胞ともにタイト結合が存在し、それぞれのタイト結合タンパクの発現と局在について検討した。その結果、辺縁細胞、基底細胞ともに、タイト結合タンパクoccludinが発現し、辺縁細胞ではclaudin-1、3の発現が認められたが、基底細胞では認められないことを確認した。それぞれの細胞におけるタイト結合の構成タンパクが異なり、各々のタイト結合が異なる機能をもつ可能性が示唆された。 14年度)ラット蝸牛におけるギャップ結合タンパクconnexin43の発現および局在について共焦点レーザ顕微鏡を用いて免疫組織化学的に詳細に検討し、connexin26の発現および局在と比較し、さらにタイト結合関連タンパクZO-1との関係について検討した。すなわち、connexin43とconnexin26は異なる発現様式を示し、蝸牛管外側壁ではconnexin43は主に血管条に発現を認め、connexin26は血管条とラセン靭帯のいずれにも発現した。ラセン縁ではconnexin43は広く発現したが、connexin26は前庭階側に主に発現した。コルチ器支持細胞においては、connexin26の発現と比較して、connexin43の発現は少数であった。蝸牛の部位によって、ギャップ結合を構成するconnexinの組み合わせや割合が異なると考えられ、さらに各部位によって、ギャップ結合の機能が異なる可能性が示唆された。上記結果について原著論文の形式で発表した(J Histochem Cytochem, in press)。
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