研究概要 |
平成13年度から14年度までの2カ年にわたる本研究の第1年度を終了し、以下の成績を得た。 1)上咽頭癌に関してFDG-PETが、治療効果・予後とどのように関連するかを検討し、予後因子としてのFDG-PETの可能性を評価した。上咽頭扁平上癌18例を対象とした。ステージIII以上が16例、頸部転移症例はは13例、遠隔転移症例は1例であった。治療は放射線療法に化学療法を施行した。治療前にFDG-PET検査を施行した。FDGの集積はSUVで定量的に評価した。一次治療後にFDG-PET検査を行い評価した。治療前SUVは平均9.65±3.69であった。T分類との関係では、進行例にSUV値が高い傾向がみられたが、Nの有無では有意差は認められなかった。治療後SUV値は平均2.32±0.52と有意に低下した。治療前SUVを9.0を敷居値として3年生存率をKaplan-meier法で比較したところ、高集積を示した群で生存率が低い傾向が認められた。 2)ステージIII, IVの進行喉頭癌は治療が困難な症例がある。ステージIII, IVの進行した喉頭の扁平上皮癌を対象に、治療前のFDGが予後と関連するかを生存率について検討した。対象は、大阪市立大学耳鼻咽喉科にて加療したステージIII, IVの進行喉頭癌20例である。進行度はステージIIIが8例、IVが12例、全例扁平上皮癌であった。治療前にFDG-PET検査を施行した。治療は、放射線療法を主体としたものが9例、放射線治療に手術療法が併用されたものが11例であった。症例を治療前のSUVで9.0以上の高集積群と、9.0以下の低集積群に分け両者の生存率をKaplan-Meier法で比較した。両者の差はLogrank-testで検定した。全20症例中、高集積群が7例、低集積群が13例であった。両者の、累積生存率は、低集積群が有意に高集積群より良好であった。(p=0.0114) 以上より、FDG-PETの治療効果、予後への関与の可能性が示唆された。14年度さらに詳細な検討を行う予定である。
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