実験動物にはモルモットを用い、気管切開を行いレスピレーターにて呼吸管理をして、全身麻酔を行った。体温は保温マットで一定に保つようし、蝸電図記録は乳突骨胞を開放し、記録電極はマニピュレーター(本年度購入)を用い挿入し、正円窓誘導法で行った。刺激発生装置等を用いクリック、短音を発生させ、CAP(compound action potential)、SP(summating potential)、CM(cochlear microphonics)を記録した。さらに、クリックトレイン刺激下で、CAP順応現象について検討を加え、解析にはマックラブシステム、コンピューターを用いて行った。蝸牛血流量(CBF)の測定は、開放した乳突骨胞から蝸牛骨壁上に血流計のプローブのチップをマニピュレーターを用い固定し、レーザードップラー法にて測定、血圧(BP:対側の頸動脈にて測定)、脈拍、体温とあわせてマックラブ(現有設備)にてチェックした。 今年度は、副作用として耳毒性があげられるサリチル酸とキニンをモルモットに投与し、蝸牛血流量、CAP、クリックトレインに対する効果について報告し、ニモジピンのキニンによる蝸牛障害に対する効果についても検討した。また臨床的には一側性耳鳴りの周波数と聴力像の検討、前庭性頸筋電位(VEMP)により前庭機能の回復が示唆された3症例の検討、逆向き耳小骨筋反射(inverted acoustic response)についての検討を行った。音響暴露の効果については現在進行中である。
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