13年度はめまいを有する突発性難聴患者20人、ムンプス難聴患者3人、Ramsay-Hunt症候群患者6人に、カロリックテスト、前庭性頚筋電図検査(VEMP)を発症急性期に記録した。突発性難聴患者ではカロリックテスト無反応例は2例、VEMP陰性例は0例と、めまいを有しているがその神経障害は軽度であった。半年後に検査が行えた7例全例、カロリックテスト、VEMPとも正常であった。ムンプス難聴患者は3例全例でカロリックテスト無反応、VEMPも全例無反応であった。このうち6ヶ月後に検査を行えた2例は、6ヶ月後もカロリックテスト無反応、VEMPも閾値低下しており、高度に上、下前庭神経が傷害半年後も回復していないことが分かった。Ramsay-Hunt症候群患者では急性期は6例中3例にカロリックテスト無反応で、VEMPも2例が無反応であった。6ヶ月後に検査が行えた3例では2例がカロリックテスト無反応で、VEMPも2例が無反応であった。Ramsay-Hunt症候群患者は急性期の前庭障害が強く、半年後も障害回復が悪いことが分かった。以上より、めまいを有する突発性難聴患者では、急性期の前庭神経障害の程度が強くなく半年後も予後が良い傾向が見られ、ムンプス難聴患者、Ramsay-Hunt症候群患者では急性期の前庭神経障害の程度が強く、半年後も障害回復がかんばしくなく、めまいの予後が悪い傾向が見られた。めまいを有する疾患でも、その神経障害には差がある傾向が見られた。
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