対象と方法:発症14日目までの新鮮例Ramsay Hunt症候群は12症例を対象とし、内訳は男女とも6例で、年齢は20歳から76歳で平均56歳であった。全例に初診時、顔面神経麻痺の電気生理学的棟査、カロリックテスト、前庭誘発筋電位(VEMP)を急性期(発症2週間まで)、半年後行った。顔面神経麻痺は40点法で経時的変化を記録した。全例坑ウイルス薬とステロイド治療を行い、Ramsay Hunt症候群の前庭機能、顔面神経麻痺治療効果について検討した。 結果:初診時自覚的めまいのあった例は6例(50%)、他覚的めまい所見は7例(58.3%)、カロリックテストCP例は7例(58.3%)、VEMP異常例3例(25%)であった。電気生理学的検査不良例では手術治療を勧め、手術症例2例、手術拒否症例2例、薬物療法例が8例であった。全体での完全治癒例は6例(50%)であった。初診時自覚的めまいがあった症例の完全治癒率は50%であり、めまいの有無と顔面麻痺の改善の相関関係は認められなかった。カロリックテストの正常群の治癒率は2例(2/5)で40%、カロリックテスト異常群の治癒率は4例57.1%(4/7)で有意な差は認められなかった。VEMPの正常群の治癒率は5例で55.5%(5/9)、VEMP異常群の治癒率は1例33.3%(1/3)で有意な差は認められなかった。他覚的めまい検査所見と顔面神経麻痺の予後との間には相関が認められなかった。
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