研究概要 |
平成13年度は交付申請書に記載した研究実施計画に基づいた研究を行った。まず1.糖尿病マウス、酸素誘発虚血網膜症の作成を行った。成熟Tie2-GFPマウス、VEGF-GFPマウスにSTZを投与し、IDDMモデルを作成し、生後7日の各々のマウスを用いて酸素誘発虚血網膜症を作成した。次に2.血管内皮細胞、VEGF産生細胞の同定を行った。糖尿病マウス、酸素誘発虚血網膜症マウスおよびコントロールマウスの摘出眼球からwhole mountの網膜組織標本を作製した。Glial Fibrillary Acidic Protein, alpha-smooth muscle actin, type IV collagen Griffonia Simplicifolia Lectin I-isolectin B4等のの細胞マーカー及びVEGF抗体を用いて免疫染色を行い、蛍光顕微鏡を用いてGFPとのco-localizationについて観察した。その結果、Tie2-GFPが内皮に特異的に発現し、酸素誘発虚血網膜症の無血管領域は血管内皮細胞のアポトーシスによる脱落のために起こることを明らかにした。またVEGF-GFPの観察によりこの無血管領域のastrocyteとMuller細胞のVEGFプロモーターactivityが著明に亢進していることを明らかにした。またVEGF染色によりパラクリンの様式でVEGFが働くことを観察した。次に3.VEGF発現の定量を試みた。糖尿病マウス、酸素誘発虚血網膜症マウスおよびコントロールマウネのwhole mountの網膜組織標本を蛍光顕微鏡を用いてGFPを画像化し、画像解析ソフトを用いてGFP強度を定量化した。その結果、一ヶ月の糖尿病マウスではVEGF-GFPの蛍光強度には差を認めず、現在より長期の糖尿病マウスを解析中である。最後に4.血管内皮細胞アポトーシスの定量を行った。糖尿病マウス、酸素誘発虚血網膜症マウスおよびコントロールマウスの摘出眼球から網膜を取り出しwhole mountのTUNEL stainning行い、GFPとco-localizeした血管内皮細胞のアポトーシス数を蛍光顕微鏡と画像解析ソフトを用いて定量した。その結果、糖尿病マウスではコントロール群に比較して血管内皮細胞アポトーシスが増加していた。 平成14年度は各種薬剤の検討を行う予定である。
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