本年度は昨年度より引き続き、間接蛍光抗体法にてエストロゲンレセプターとエストロゲン代謝酵素である17ベーターハイドロキシステロイドデハイドロゲナーゼ4型(17β-HSD4型)のタンパク質の発現について、毛様体における分布を検討した。さらにRT-PCR、in situハイブリダイゼーションにてmRNAの毛様体における発現、分布を検討した。 1)ウシ、サルの摘出眼球より毛様体の凍結切片を作製し、4%パラホルムアルデヒド固定した。エストロゲンレセプターと17β-HSD4型の局在を検討するため、間接蛍光抗体法を施行し、共焦点顕微鏡を用いて観察した。ウシにおいて抗エストロゲンレセプター抗体による反応は、毛様体の扁平部には均一にみられたが、毛様体襞部の前部では、後部に比較して染色性が弱かった。17β-HSD4型は、毛様体上皮の部位による発現量の差はみられなかった。 2)エストロゲンレセプターのmRNAの発現を検討するために、RT-PCRを施行した。サル毛様体よりRNAを抽出し、RT-PCRを行った。得られたPCR産物の塩基配列を決定した。サル毛様体におけるエストロゲンレセプターの発現が確認された。in situハイブリダイゼーションにて、エストロゲンレセプターと17β-HSD4型の局在を解析した。 哺乳類の毛様体上皮に性ホルモン及び性ホルモン代謝酵素が存在することは、毛様体上皮における性ホルモンの役割を示唆した。
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