研究概要 |
本研究の目的は、色相による視覚野の応答を観測し、脳内処理を予測することである。色覚関連中枢(以下V4野)は、大脳の下部に存在するにも関わらず、上半視野のみならず下半視野の刺激にも応答することがすでに明らかになっている。われわれは、機能的核磁気共鳴画像法(functional MRI)を用いて、ヒトV4野のこれらの特性をもとに刺激の形状を工夫し、逆扇形の赤緑チェッカーボードの頂点を固視することによって下半視野にのみ刺激を提示し、これに応答するV1, V2野は後頭葉上部にV4野は下部に分離して検出することに成功している。今回は刺激条件として、下半視野に灰色、赤、緑、青、黄と黒で作成した逆扇形チェッカーボードを提示し、V4野を同定し、ここをそれぞれ関心領域として平均時間反応曲線を求めた。その後、パーソナルコンピューターで各色相ごとに平均信号上昇率を求めた。男性6名女性2名で計8名の被験者で同様の実験を行った。8名のデータを加算平均してみると、ある傾向が認められた。V4野では灰色とそれ以外の4色との間に有意差を認めただけではなく、青と赤、黄と緑の間でも5%水準で統計学的に有意な差を認めた。すなわち、V4野では青と黄において信号上昇率が大きかったのである。平成14年度は平成13年度に観測したV4野に加えV1野を同定し、ここをそれぞれ関心領域として平均時間反応曲線を求め、パーソナルコンピューターで各色相ごとにまた、測定部位ごとに平均信号上昇率を求め、色相による脳内処理の特徴について予測する。
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