プラスミノーゲン・アクティベータの阻害剤、アミロライドを用いて眼内血管新生に対する効果を検討する実験を行った。低酸素網膜症モデルは、C57b1/6 wild typeマウスを生後7日目に母マウスと一緒に酸素濃度を75%に保った箱に5日間入れ、再び大気酸素濃度下に取り出してアミロライドあるいは溶媒のみを眼内注入した後5日間生育させ、仔マウスに低酸素網膜症を作った。眼球摘出後に厚さ10μmの薄切切片を作製してlectin染色を行うと、90%以上の眼球で硝子体腔内に伸展する網膜新生血管が観察された。この網膜新生血管はアミロライドを眼内注入した群と対照群の間で有意差はみられなかった。脈絡膜新生血管モデルでは、生後6週のC57b1/6 wild typeマウスにアミロライドあるいは溶媒を眼内注入した後、波長527μm、出力100mW、スポットサイズ100μmのレーザーを用いて1眼あたり3か所に強度レーザー光凝固を行ってBruch膜を断裂させ、2週間後に脈絡膜新生血管を計測した。厚さ10μmの連続薄切切片を作成してlectin染色を行い、容積を測定して比較するとアミロライドを眼内注入した群では対照群より大きな脈絡膜新生血管が観察された。VEGF誘導網膜新生血管モデルとして、Rho/VEGFのheterozygousにC57b1/6マウスを掛け合わせ、Rho/VEGFとwild typeの仔を得る。生後5日目にアミロライドを眼内注入し、低酸素網膜症モデルと同様に網膜下新生血管の個数と総面積を測定した。対照群に比べて、アミロライドを眼内注入した群では有意に網膜下新生血管の個数が少なく、総面積は小さかった。線溶系酵素であるプラスミノーゲン・アクティベータの活性を、その阻害剤であるアミロライドを用いて抑制することによって眼内新生血管を抑制しうる可能性が示された。
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