Advanced glycation end-product(AGE)と糖尿病網膜症との関係を探る初期実験として、まず血清中の各種AGE濃度と糖尿病網膜症の病期分類との関連を検討した。糖尿病コントロール目的で入院した患者のうちで、糖尿病網膜症の出現していない症例(NDR)32例、単純網膜症(福田分類でAI・AII期、SDR)22例、前増殖糖尿病網膜症以上(福田分類でBI期以上、PDR)18例において、glucose由来のAGE(Glu-AGE)、glyceraldehyde由来のAGE(Glycer-AGE)、methylglyoxal由来のAGE(Methyl-AGE)各々についてELISA法を用いて血清中濃度を測定した。同時に年令、発症期間、血圧、HbA1c、Total cholesterol、中性脂肪、BUN、クレアチニンがAGE濃度に関与していないかも検討した。 血清中Glu-AGEはNDR群では14.09±16.32μg/ml、SDR群では24.52±19.12μg/ml、PDR群では29.77±20.16μg/mlとSDR群とPDR群はNDR群に比較して有意にGlu-AGEの上昇を認めた(P<0.05)。一方血清中Glycer-AGEにおいてはNDR群1.38±1.06μg/ml、SDR群1.95±1.02μg/ml、PDR群2.00±1.23μg/mlで各群間には有意差は認めなかった。血清中Methyl-AGEについてはNDR群0.22±0.17μg/ml、SDR群0.27±0.11μg/ml、PDR群0.25±0.16μg/mlと各群間に有意差は認めなかった。これらの血清中のAGE濃度が年令、発症期間、血圧、HbA1c、Total cholesterol、中性脂肪、BUN、クレアチニンと関連がないかも検討したがいずれも関連は認めなかった。
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