hanging drop法を用いた独自の培養法で、Green fluorescent protein(GFP)で蛍光標識したGFP-ES細胞を培養し、皮膚欠損を作成し、その近傍にES細胞を移植することにより、毛嚢を得ようとする実験を引き続き行った。 129/OlaマウスES細胞の3胚葉への分化が認められた後、129SJV茶毛マウスの背部の皮下にその細胞塊を移植、全層欠損の周囲皮下に移植、皮膚を人工真皮で置換し無毛部分を作成し、その下に移植する等、ES細胞が関与する毛嚢の出現効率が良い、またはES細胞の同定が行いやすいモデルを模索してきた。hanging dropからシャーレ上で9日間培養したES cellを人工的に背側皮膚の一部を欠損させたマウスに移植したところ、奇形腫は形成せず、毛嚢様の組織がみとめられた。しかし、もっと短い培養日数で移植したものは、奇形腫の形成も多いものの、毛嚢様組織の形成も多くみとめられると考えられたため、その培養日数と毛嚢様組織の発現率が定量出来るように、実験を行っているところである。再生毛が観察されたら、光学、蛍光顕微鏡を用いて、観察しているが、未だに毛柱のGreen fluorescent protein(GFP)の疑陽性が認められる問題が解決できていないので、パピラの部分の観察を行う事が不可能である。毛嚢の誘導は中胚葉由来のパピラcellが重要な役目を担っていると報告されているように、移植したES cellは毛嚢の形成そのものに分化するのではなく、誘導の役割を担っているだけの可能性も高く、今後その可能性についても研究を進めたい。
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