研究概要 |
歯周病は歯槽骨を含む歯周組織の広範囲な破壊を特徴としており、発症原因として宿主細胞由来のプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が関与するという知見が増加してきている。その一つとしてPapillon-Lefevre症候群と称される重度の歯周病及び手掌足底角化症の責任遺伝子がカテプシンCであることが同定され、現在までに14種類の変異体が報告されている(Nature Genetics,23,421-424,1999;J. Med. Genet,36,881-887,1999)。それではなぜカテプシンC遺伝子の変異が起きると歯周病を引き起こすのであろうか。カテプシンCはタンパク質分解酵素なので、蛋白化学的解析が必須である。そこで組み替え型ヒトカテプシンCを動物細胞へ強制発現させて後、14種類の変異体を同様に作成し野生型との比較をすることにした。まずヒト・カテプシンCのアミノ酸配列はすでに報告されているものを元にcDNAを作製した。具体的にはヒト肝臓由来のcDNAライブラリー(タカラ社製)から特異的プライマーを合成後、PCR法を用いてヒト・カテプシンCのcDNAを作製した。これを動物発現ベクターpcDNA3.0に組み込み、HEK293T細胞に発現させた。本細胞はHela細胞等に比べ内在性カテプシンCの発現量が低く、カテプシンCの解析に優れていることをすでに確認している。しかし、ヒトカテプシンCは免疫ブロッテイング法では検出できないレベルのタンパク質しか発現してはいなかった。そこで発現方法を検討したり、cDNに間題がなかったか現在検討中である。これらが解決できれば順次14種類の変異体作成に取りかかる予定である。
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